The image of a child as rich in potential, strong and powerful.
“人は誰もが強く、たくましく、素晴らしい可能性を持っている”
ウエストの野外教育は「SEELE」という概念に基づいて作られています。Social(社会的)、Environment(環境)、Educational(教育的)、Lifestyle(ライフスタイルを大切に)、Experience(体験)のそれぞれの頭文字をとったもので、これら4つを柱にした体験学習を通じて、日本とカナダの社会を比較・研究しながら、思考力、問題解決能力を向上し、右脳を活性化し学習能力を高め、国際社会で役立つ知識や価値感を伸ばします。
ウエストでは野外教育を考える上で、北イタリアで生まれたレジオエミリアの教育哲学を理論の基盤としています。
本プロジェクトが目指すのは、一人一人の能力や才能を大切にしながら「自分自身で考える力」や「問題を解決する力」を伸ばすことです。ウエストコーストには、日本全国から様々なバックグラウンドを持った方々が参加しており、ただ英語の勉強だけでなく、ウエストコーストの野外教育プログラムを通して、幅広い知識も身につけて頂きたいと考えています。
現代で本当に必要な「教育」って何?と聞かれて、「センター試験!」という方はまず少ないでしょう。
情報が溢れる中で、情報の良し悪しを見極めて上手く活用し、目まぐるしく変わっていく社会の中で柔軟でバランスの取れた人が国際社会の中でも活躍しています。ITが普及していますので、記憶中心の教育よりも、情報をどのように生かすかという事が重要です。
雇用に於いて最も重視されるポイントは「人間性」。
性格が良くて、付き合いやすい人とお仕事したいのは今も昔も変わりません。30年ほど前は、学校で「人間性」というものを教えなくても地域の人・親が教えていましたが、現代の教育はこういった「人間性」を学ぶ機会を設けないと、子供が学べない時代になってしまったのかもしれません。
ウエストの野外教育では、このような社会的背景を踏まえて、「人間性」を高めるような、対人力、協調性、問題解決能力、創造性を鍛えることで自己資源を高め、更に英語でコミュニケーションをとることでより国際理解を深め、現代の教育に少しでも良い影響を与えられるようなプログラムを目指しています。
アウトドア – プロジェクト開発:仲眞 秀哉
学生の社会や他人と関わる能力が以前と比べて低下してきています。これに危機感を抱いた経済産業省が2006年から提唱しているのが「社会人基礎力」です。
これは「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」のことで、「前に踏み出す力(主体性・働きかけ力・実行力)」、「考え抜く力(課題発見力・計画力・創造力)」、「チームで働く力(発信力・傾聴力・柔軟性・情況把握力・規律性・ストレスコントロール力)」の3つの能力(12の能力要素)から構成されています[参考文献:4]。
また、内閣府が提唱する「人間力」というものがあり、「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」[参考文献:5]を体験活動を通して伸ばすことが重要であるとしています。
ウエストコーストの野外教育はこれらの能力・要素を網羅したプログラムを取り入れています。実際に野外教育を取り入れた学校ではさまざまな効果が報告されています。
平成20年度に行われた全国学力テストが上位であった秋田県や福井県は、体力テストでも上位であったという結果で、すでにその点について相関関係があるといわれています[参考文献:1]。
ウエストコーストの野外教育プログラムの中には、スポーツや身体を動かす活動も盛り込まれており、プログラムを通して外で身体を動かす楽しさを実感することができます。ウエストコーストの野外教育プログラムは、学力の向上にも役立つと考えています。
また、野外教育が盛んなアメリカにおいても、学校のカリキュラムに取り入れたところ、学力にも非常に良い影響が出たという結果が報告されています。
身体を動かすことで脳と感覚器で双方向的なやりとりが行われているので普段使っていないような眠った神経細胞たちを眠りから覚ますことができます[参考文献:1]。
また、ウエストコーストの野外教育プログラムは、脳の学習意欲活性化にも役立ち、自立神経のバランスを整えたり、他の人とチームとなって活動することも含め対人関係、共存、いっしょに楽しむことなど総合的に学ぶことができます。
特にボーっとテレビやゲームをやっているような時間が長いと、脳の視覚野と前頭葉野の一部分が働くだけで他の部分は眠ったときと同じような状態になります。
脳の神経は使ってあげなければ徐々に衰えるので、このような時間が長いほど脳は考えられない状態になっていきます。実際に身体を動かしているときの脳活動を測定すると、脳の運動野、感覚野、前頭前野という領域の活動が高まることが確認されています。逆に、ゲームをしているときの脳活動を測定した研究で、ゲーム開始後15分で前頭前野の広い範囲で活性が低下していることが確認されています[参考文献:1]。
過度に進んでしまった競争社会では人が自然体で受け入れられることが難しく、条件付になります。
ただし、条件を満たすために過剰に頑張りますが、競争社会ですのでその条件を満たせるのはごくわずかですし、そのため、みんな努力しているのにも関わらず敗者、負け組みを多く算出してしまいます。
勝ち組は競争し続けます。現代社会においては、青少年、幼少期においても多くの若者が過度の不安を抱え、完璧主義が求められる社会において、理想が達成できない際の自信喪失、長期に渡る緊張状態といったことで行き詰まりを経験しています。そうすることで、本来持っている素質を十分に発揮できないまま、気分障害を持ってしまう方々も多く見受けられます。
気分障害とはうつ病や躁うつ病などに代表される病気で若者から高齢者までなる可能性があると考えられています。
ウエストコーストがこれまでサポートしてきた青少年・社会人の自立支援の回復率は90%以上という確かな実績があります。
現在、日本では気分障害に対して治療薬をその患者に投与して治す東洋医学が主に用いられています。しかし、このような治療薬では薬が切れてしまうと再びうつ症状が出るため、根本的な治療にはなりません。
最近では、気分障害の原因となるストレスを軽減する方法として、運動処方が注目されています。また、適度な運動がうつ病などの精神疾患の患者の前頭前野を活性化させ、低下していた脳活動を健常な状態に戻すためにも効果的だということがわかってきました[参考文献:1]。
情報が溢れている現代において、野外教育プログラムを通じて自分自身の身を自然の中に身をおくという状況は、不必要な情報を排除し、自分について考える時間を持つことにつながり、根本的な原因と向かい合うことを可能にします。
人は運動不足になると身体的にも精神的にもストレスを受け、その結果として気分障害やノイローゼになる傾向が極めて高いといいます。ウエストコーストの行う野外教育の中では、カヌー、ロープコース、トレッキング、サッカー・ビーチバレー・ヨガを含むスポーツ、湖で泳ぐなどがプログラムの中に盛り込まれています。
適度な運動はストレスやそれに起因する気分障害に対して抹消と中枢の両方に作用して、それらの働きを正常化させることが多くの報告から明らかにされています[参考文献:1]。
従来までの薬による治療のほかに運動を効果的に用いることで気分障害の症状を緩和し、場合によっては治療効果を高める可能性もあることから、運動処方を取り入れたウエストコーストの野外教育は青少年・社会人の自立支援のきっかけ作りに最適だと考えられます。